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【本の紹介】コミュニケーションを学ぶための1冊を紹介します
2023.07.21 Fri

プロジェクトマネージャー&品質責任者のshinzです。コミュニケーションという「技術」を学ぶために最適な書籍を見つけたので共有します。
コミュニケーションを学ぶための1冊
コミュニケーションの重要性は誰しもが認識していると思いますが、定義は人によって様々で、思い起こしてみると、体系的に学ぶ機会がほとんどないことに気が付きます。
ほとんどの人はおそらく試行錯誤をしながら、自分なりのコミュニケーション技法を身につけているのではないでしょうか。
体系的なコミュニケーションを学ばずにいる状態というのは、地図や羅針盤を持たずに航海に出るようなものかもしれません。
今回紹介する書籍は、初版が10年以上前になりますが、コミュニケーション論として読みやすく、実践的な内容でもありますので、他者との接し方に戸惑いを感じている方に強くお勧めしたいです。
本書は医師でブロガーのmedtoolz氏の人気ブログ「レジデント初期研修用資料」(※)より、コミュニケーションにまつわる記事を選び出し、加筆修正して書籍化したものになります。
本書の目指すコミュニケーションとは
この本が目指している「コミュニケーション」とは、「状況のコントロール」を達成するための「技術」と定義しています。
「状況のコントロール」とは「そこにある事実に対して自分の見解をもつこと」「見解を確立するために事実の改変を防ぐこと」の要素から構成されていると筆者は言っています。
一体どういうことでしょうか。
見解をもつ
そこで生じた一連の事実をお互いに共有して、自分自身がその事実に対する妥当な見解を示すことで、状況はコントロールされます。お互いの目的が異なる以上、見解が一致しないことは珍しくありませんが、事実が共有されている限り、見解の相違は、譲歩によって合意に結びつけることができます。
筆者はお互いが妥当な見解を示すことで、例え相違があっても「譲歩」によって合意を形成することができると言っています。
例えば、友人とお昼を食べに行く時に「何を食べようか?」と切り出しても「何でもいいよ」と返されると結論を出すまでに時間がかかってしまいます。そこでお互いに「カレーが食べたい」「うどんが食べたい」という「見解」を出しあうことで、例え違うものが食べたかったとしても「譲歩」をすることで「カレーうどんにしよう!」というような「合意」をすることは可能です。
また、「何でもいいよ」と言われた際に「カレーが食べたい」というような妥当な「見解」を示せた側が状況をコントロールする側にいることは言うまでもありません。

もしも、参加者の誰も「見解」を示さない会議があった場合、それは空虚な空間でしかなくて、コミュニケーションが正常に機能しているとは言い難いですよね。そういった会議の場で「合意」が形成されることは稀です。
事実の改変を防ぐ
ところが見解というものは、 土台となる事実が変更されると、根拠を失ってしまいます。
共有されていたはずの事実が相手によって削除されたり、あるいはそこに「新しい事実」が付け加えられたりしてしまうと、見解は崩れ、 コントロールは失われ、合意の力は無駄になってしまいます。
状況のコントロールを獲得するためには、自らが事実に対する要当な見解をしてみせることと相手にも独自の見解を持ってもらうよう働きかけることが大切なのですが、共有された事実に対する改変に注意を払い、それを禁止することも、 同じぐらいに大切なことになります。
共有されていたはずの「事実」に齟齬が生じていることが開発の終盤で発覚し、手戻りが発生した経験はないでしょうか。「新しい事実」が付け加えられることや、事実が削除されることには十分に注意せよ、と言う筆者の助言はあらゆる場面でも通用する普遍的な内容だと思います。
本書では、事実の改変を防ぎつつ、お互いの妥当な見解から合意を形成するため手法を「技術」として記載しています。
同時に筆者はコミュニケーションは
「正義を達成するための手段ではありません」
「相手を叩きのめす手段ではありません」
「見解の一致を目標にしません」
とした上で、状況をコントロールするために必要な技術をいくつかの章に分けて紹介をしています。
本の構成
本の構成は以下の通りです。
第1章 話を聞く
第2章 問題を受け止める
第3章 話を続ける
第4章 分かりやすく説明する
第5章 チームを説得する
第6章 医療ミスの起きるメカニズム
第7章 ミスを素早く発見する
第8章 抑止力を運用する
第9章 謝罪を行う
第10章 交渉の外にいる人
一見すると病院内のコミュニケーションのお話ではありますが、
「話を聞く」→「問題を受け止める」→「こちらの見解を説明する」
と言う基本的なコミュニケーションの流れと、コミュニケーションにおけるインシデント発生時の具体的かつ効果的な対処方法が書いてあり、示唆に富んだ内容になっています。
医療の専門書と言うよりは、あらゆる職業に応用できる「実用書」ととらえていただいて、差し支えはないかと思います。
「わかりやすく説明する技術」
私が、一番参考になるな、と思ったのは第4章で触れられている「わかりやすく説明する技術」についてです。
コミュニケーションのアウトプットの一つに、事象に対する「理解」があります。
筆者は「理解」を以下のように定義しています。
理路整然と病気のことを患者さんに語ったところで、 「理解」 を得るのは難しい。 どれだけ詳しく語っても、 患者さんはしばしば、「お任せします」 とか、「分かりました」という言葉で会話を終わらせる。 これは「理解を停止します」という、患者さんの断絶宣言であって、伝わっていると思ったことは、 全然伝わっていなかったりする。理解が目指しているものは、「要するにこういうことですね」 という、 患者さんの口から発せられる「要するに」が医師と共有される状態で、「お任せします」や「分かりました」は、 理解とは違う。
何かの説明をした後に、「全然伝わっていなかった」という経験がある方は多いと思います。
では「伝える」ためにはどうしたら良いのでしょうか。
語るのではなく押しつける
患者さんの間題が肺炎なら、「肺が悪い。酸素と点適が必要。具合は、良い悪いで言ったら少し悪い。死ぬこともある。 医師としてやれる範囲で頑張るつもり」ぐらいのことを一言で、まずは「押しつけてから、相手の反応を待つのが正しい。
理解できる、短い言葉を「押しつけ」られると、たいていの人が反発する。押しつけられて、反発して、 試行錯誤を行って、その結果として、「質問」が生まれる。
教科書的な知識を包み源さず伝達する、最初から「相互理解」みたいなやりかたを日指しても、望ましい結果には結びつかない。外国語みたいに響く長広舌を聞かされた人は、理解ができないから黙ってしまう。結果として「質問」が生まれない。
望ましい理解というものは、きれいな伝達を工夫すると、むしろ遠のく。理解というものを考えるときには、まずは「質問が出やすい状況設定」を考える必要がある。
”「質問が出やすい状況設定」を考える必要がある”
本書の中で、筆者は状況のコントロールをせよ、と繰り返し何度も言っています。
「理解をしていただく」という目的を達成するためには、正しくコミュニケーションをとる必要があるのです。

理解というものは、最終的に「主治医から押しつけられた見解の型枠を自分の言葉で満たす」 作業として完成する。
医師から押しつけられた言葉、あるいは病棟での体験を通じて、患者さんの側からいくつもの質問が医師に返される。これを繰り返すことで、理解を導く言葉は、患者さん白身が内的に生成していく。
本書の内容をすぐに実践できるか、というと難しいかもしれませんが、「理解していただく」という目標に対して、どのように実現するかを考えるきっかけになれば、と思います。

レジデント初期研修用資料 医療とコミュニケーションについて
著者 medtoolz 著
定価 2,200円 (本体2,000円+税)
判型 A5
頁 248頁
ISBN 978-4-274-06836-2
発売日 2011/01/25
発行元 オーム社
https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274068362/
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